春の嵐がやってくるまで

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春の嵐がやってくるまで

解説

主演俳優の大原海輝が原案・企画・プロデューサーを務め、コロナ禍の2年を構想と制作にあて、監督・脚本の鯨岡弘識とともに作り上げた作品。

迷走中の俳優カイは、バイトをしながら舞台の稽古に通う日々を送っていたが、その舞台は給付金目当てで制作されただけで、計画的に中止されてしまう。カイは、彼の元ファンだという幽霊のリンと奇妙な共同生活を送っており、リンは舞台が中止になって落ち込むカイを慰める。しかしある日、リンが姿を消してしまったなか、カイは、あこがれを抱く俳優の先輩であり、同時にトラウマ的な存在でもある女性アキと再会する。彼女が失くした“あるもの”を探す旅に付き合うことになったカイは、未来に向けた新たな一歩を踏み出していく。

大原自身の身に起こった、コロナ禍での婚約破棄や助成金目的の計画的舞台中止などといった出来事を背景に、等身大の人びとの成長や滑稽な恋愛模様、愛らしい人間模様の美しさを描く。

2024年製作/46分/日本
劇場公開日:2024年1月19日

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(C)春の嵐がやってくるまで

映画レビュー

4.5もう少し憲法論に踏み込んでほしかった

2024年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年176本目(合計1,268本目/今月(2024年5月度)10本目)。
(前の作品 「タイガー 裏切りのスパイ」→この作品「春の嵐がやってくるまで」→次の作品「」)

 以下は、ひとりの行政書士の資格持ちレベルの感想です。

 映画としては45分程度で、ストーリーの大きな筋として、コロナ事情の中で制約されたいろいろな芸術活動(映画や演劇ほか含む。以下同じ)や、それを下支えしていた給付金(持続化給付金)を悪用するもの等を描いた作品です。この点、やや混乱しそうなので後でまとめます。

 個人的には、2020~2021の極端に制約されていたこうした「芸術活動」は、憲法的には「表現の自由」に含まれ、憲法が保障する諸権利の中でも最も尊重されるべきものであり、次いで、映画内でちらっと出てくる「20時まで飲めるよ」という飲食店などの「営業の自由」でしょう。これらがコロナ事情のもとにおいて程度の差こそあれ制約されてしまったのは事実で、一方で人権の中でも尊重度合いが高い「表現の自由」にまで踏み込んでしまったこのコロナ事情の中でそれを描いた点は理解できるものの、いかんせん45分と短いのがちょっと厳しいかなといったところです。ただ、この論点があることは見た方は理解できると思います。

 もう一つは、詐欺的な持続化給付金の申請の話であり、基本的にはこれらは検挙されるべきものです。ただこの点については映画内では何の言及もなかったのが残念でした(もっとも、45分の映画なのであれもこれも詰め込み不可能)。そういった事情があるので、個人的には「コロナ事情で制約された諸権利と、それでも尊重されなければいけない基本的人権のバランスのとり方」の論点で見ました。

 その論点で見る限り、大きな傷はないかなとは思いますが、もうあと15分か20分か(60分か65分になる)伸ばしてもう一論点いれても良かったのではないかな、というところです。

 採点に関しては以下のようにしています。

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 (減点0.3/助成金と給付金の違いの混同)

 このサイト、および公式のツイッターアカウントでも混同が見られますが、給付金と助成金はそもそも異なるものです(補助金とも異なる)。映画内で述べられているのはいわゆる「持続化給付金」と呼ばれるものです(例の「10万円」の「特別定額給付金」とも厳密には異なる)。

 ※ 映画内に「助成金」と言えるものは出てこない(出るのは「持続化給付金」)

 この点は資格持ちは何を述べているのか予告編の文章などから混乱を招きますので、配慮が欲しかったです。

 (減点0.1/もう少し憲法論に突っ込んだ内容であってほしかった)

 この映画は先に述べたように、「コロナ事情で制約された諸権利と守られる権利のバランス」という論点が明確にあるので、そこをもう少し触れて欲しかったところです。

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 (減点なし/参考/持続化給付金を巡って当時何が起きたか)

 以下では、企業向けの「持続化給付金」に話を絞ります。

 当時のコロナ事情において、持続化給付金をどの士業が行えるかは混乱があり、行政書士はもちろん、税理士や中小企業診断士等が行っていたのは事実です。

 ただ、これらは統一的見解が出されて「有償で行う場合は行政書士のみ、税理士は無償で行う場合は可能、ただし、模擬画面の説明などは可能、パソコンを貸し出すのも可能だが、有償で税理士が画面を入力してはいけない」という扱いになりました。

 とはいえ、行政書士は中小企業の経営のプロでもなければ税理のプロでもなく(試験上は、商法会社法で20点の配点しかない。簿記会計の知識の証明には、別に税理士(国家資格)や簿記検定(公的試験)などが必要)、上記の統一的見解により税理士からの協力が得られにくくなったため、一時期中小企業が混乱した時期があります。

 また、コロナ事情がいつまで続くかわからない中で、こうした行政からの見解で「有償で行う場合は行政書士の独占」ということがはっきりすると、令和2年3年に試験の受験者が増加した事情もあります(ただこのことは、コロナ事情の中、先が見えない中で何か資格を取ろうという人も一定数いたし、実質「自宅ロック」状態で「資格の勉強くらいしかすることがない」状況でもありえた)。ただ、現在(令和6年)はコロナ事情はほぼ令和7年にかけて「過渡期の最後の様子観察の年」と言え、そうした「持続化給付金の業務狙い」の受験生の目論見がそうそうに消えてしまった事情もあります(コロナ事情よりも前のいわゆる「感染症」といえば、SARSくらいしか思いつかない)。

 ※ 資格の特性上、どれか一つのベクトルに向けないと仕事ができないのが行政書士の性質なので、いきなりベクトルを変えることができなった(できない)という事情はあります。外国人の取次関係にアンテナを張っている私がほかに目を向けずに日々日々外国語の学習をしているのは、「ベクトルをずらさない」という事情です。

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