劇場公開日 1957年1月15日

蜘蛛巣城のレビュー・感想・評価

全40件中、1~20件目を表示

5.0物怪に誑かされる話

2024年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

興奮

感想

野望と疑心暗鬼、神も仏もない戦国下剋上の世。
霧の中、蜘蛛城趾の碑が現れる。
諸行無常、世の中は繰り返しである呪文のような
譜が流れていく。再び霧が流れ、濃霧になる。
その霧の中に、巨大な城が現れる。

戦は続く。北の館の主、藤巻の謀叛を鎮圧した、
一の城主、鷲津武時とニの城主、三木義明は
時の蜘蛛巣城主、都築国春へ出向途中、蜘蛛手の
森で奇々怪界とした物怪に出会い、今宵より鷲津は
一の砦の城主、三木はニの砦の城主。その後、
鷲津は蜘蛛巣城主、三木は北の館の主となり、その
息子は鷲津の次の蜘蛛巣城主になると言われる。

夢か現か、それから始まる奇々怪界とした、
人間の欲と業のなせる、怖ろしく醜い振舞いが
展開される。

いにしえの戦より続く、無念、非業、そして怨みを
重ねて、死んでも死にきれない多くの成仏できる事
ない魂が、怨念をもつ蜘蛛手の森の物怪となり、
下剋上の世を生き抜く者たちを誑かし、その術中に
嵌り、己の身をも自身の欲望に任せた諸行により、
破滅に向かわせてしまう、無常で不可思議な物語。

死神に謀られる武将に三船、千秋、の両氏。他、
志村喬、藤原釜足、土屋嘉男、稲葉義男、加藤武、
黒澤組常連の壮々たる俳優陣で重厚な映像を創り
上げている。
さらに鷲津を翻弄する女房、浅茅に山田五十鈴。
物怪に浪花千栄子、怨霊に中村伸郎が怪演して
いる。監督助手はウルトラQの若き日の野長瀬
三摩地が担当した。

黒澤監督はウィリアム・シェークスピアのマク
ベスを元に能楽の要素を含み、おどろおどろしい
脚本を小國英雄、橋本忍、菊島隆三の各氏と書き
上げた。撮影も壮大なセットを富士山の裾野に
構築、騎馬武者シーンも豪快な撮影で素晴らしい
映像を創り上げている。

⭐️5

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Moi

3.5迫力ある三船敏郎

2024年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

三船敏郎扮する鷲津武時らの働きよろしく謀反を鎮圧したが、殿への報告の途中蜘蛛巣城の由縁たる道に迷ってしまった。すると森の中で得体の知れない老婆に出会い予言を受けた。

観るのは二回目だが、改めて観ると三船敏郎の迫力ある顔は尋常じゃないな。でも時の武将が登城する道に迷うなんてちょっとね。 人を殺しながら出世していく侍の世。忠義が勝つか出世の夢が勝つか。 それにしても夫に謀反をけしかける妻の強さは凄いね。

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重

4.0【主君に忠誠を誓っていた武将が、妖や妻の囁きにより忠誠心から下克上、更なる立身出世を求める心に変遷していく様をおどろおどろしく描いた作品。初期邦画ホラーといっても良い世界に誇る逸品でもある。】

2023年6月7日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

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NOBU

5.0シェイクスピア原作映画化の最高峰‼️

2023年5月28日
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悲しい

怖い

興奮

何が凄いかってシェイクスピア原作の世界観を日本の戦国時代にうまくを置き換えたこと、霧などの自然現象を利用して幽玄的な雰囲気を作り出したこと、本当に森が動いたように見える映像技術の素晴らしさ、三船さんのギラギラした演技と山田五十鈴さんのねっとりとした演技、誰も城主になりたくないと思う蜘蛛巣城というネーミング、本当に三船さんが射抜かれたとしか思えないクライマックスの無数の弓矢が放たれるシーン、シェイクスピアの世界観を表現するために能楽の様式美を持ち込むという天才的な発想‼️誰も真似出来ないですね‼️

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活動写真愛好家

5.0昔も今も変わりなし。人の心が一番怖い。

2022年12月19日
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鑑賞方法:映画館

ロンドンの王立劇場の柿落としで上映された際、恐怖のあまり失神者が続出したと言われる、なるほど怖い。怖いだけでなく、最初から最後まで一瞬の遊びもユーモアもなく(黒澤作品には珍しく)緊張が強いられる。疲れた。
そりゃ失神するわ。

黒澤作品は、若い頃は「用心棒」や「赤ひげ」などの分かりやすくて面白いのが好きだったけど(「七人の侍」は別格)、年とってくるとこの作品が一番すごいんじゃないかと思ってきた。
一番繰り返し観てるかもしれない(「七人の侍」は別格です)。

初めて観た時(もちろん初公開時じゃなくてリバイバルか名画座で)は、物の怪と騎馬での疾走と蜘蛛手の森とラストシーンがあまりにもインパクトが強く気付かなかったことが多かったけれど、観るたびにすごいことに気付かされる。

三船敏郎すごいけど、山田五十鈴すごいなぁ。でもやっぱり三船敏郎すごいや。ってすべてがそんな感じ。

スタッフもキャストもすごい。物の怪おちょやんやし。
CGのない時代(CGもすごい技術がいるんだとは思いますが)、ひとつひとつのシーンにかける時間、労力、知恵が現在とは比べものにならなかったのだろう。
面白くなるはずだ。

三船さんはアクションスターだ。
「影武者」「乱」、そして「スター・ウォーズ」も三船さんが出てたらもっともっと面白くなってたろうなぁ。

4Kリマスターで劇場で観ることができるしあわせ。
午前十時の映画祭ありがとう。
ただ、観客三人。もったいないなぁ。もっと映画館を選べないのかなぁ(劇場のスタッフまるでやる気なし)。上映館増やしてほしいなぁ。上映時間も朝一度だけでなく夜の回でもやってほしいなぁ。
東宝さんも、アニメやテレビドラマの劇場版に力入れるのはいいけど、自社の宝物再上映すればいいのに。
宣伝費かけて「七人の侍」IMAXで全国公開したら絶対ヒットするよ。劇場で映画を観る楽しさ気づいて映画人口も増えると思うけどなぁ。

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大吉

4.0怖いのはもののけより人の心〜

2022年12月10日
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鑑賞方法:映画館

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怖い

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リボン

4.0「マクベス」→「蜘蛛巣城」→「ダースベイダー」

2022年12月10日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

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星のナターシャnova

2.5弓矢のシーンは印象的

2022年12月4日
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鑑賞方法:映画館

寝られる

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りあの

3.5運命悲劇

2022年12月3日
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とにかく、老婆と
ラストの矢のシーンが印象的

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JYARI

5.0サド・クロサワ

2022年11月30日
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鑑賞方法:映画館

三船敏郎のドキュメンタリーで知り、前から観たかった「蜘蛛巣城」を、午前十時の映画祭にて鑑賞。すごい良かった。大満足。イントロから妖しい雰囲気で、モヤを使って過去と現代を橋渡し。ありがちな手法だけど、やはりうまい。

三船と千秋実が並んでると、三船の顔の濃さが目立つ。まるでイタリア男のようだ。その三船がギョロっと目を見開くと、なかなか鬼気迫るものがある。三船には能っぽさはないが、山田五十鈴は能っぽい。表情なく衣擦れの音とともに動く。面をつけて摺足で歩く役者のようだ。

この時代の俳優は、本当に馬の扱いがうまい(いや、シャレじゃなく)。山道を全速力なんて、今じゃありえないでしょ。三船と千秋の2騎が山中を駆け抜ける姿を、木々の間から撮るところは、黒澤のサド具合がよくわかる。あんなの何度もやらされたらキレるだろうなぁ。けっこう長い尺使ってたから、長時間騎乗してたのではないかと思われる。ほんとにご苦労さまです。

でも、黒澤のサディストぶりは、終盤の矢が頂点ですな。怖いよ〜。よくぞご無事で。昭和って濃いね。熱いね。

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ぷにゃぷにゃ

3.5馬がかっこよかった

2022年11月26日
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良かったです。
ストーリーが野心とか裏切りがテーマなので感情移入は出来なかった。
登場人物等はとても良かった。
登場人物とセットを愛でながら見ました。
特に馬で疾走する三船敏郎。
不気味な奥様。
誠実な友人。

感想
あんなに妻から言われたら私も同じことをすると思う。

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はなはなとみんみ

3.0恥ずかしながら

2022年11月22日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

初見です。テンポ悪いと感じるのは毒されてしまったのか?実際の城とか大勢の軍兵の再現って、演劇とは真逆の考え。一度なら良いが「影武者」「乱」と続けられると・・・1年後の「隠し砦」は面白かった。

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トミー

5.0人が蜘蛛の巣に掛かる…

2022年11月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

三船敏郎さんは、黒澤映画で、善役でも悪役でも出るが、この作品は悪役の方で
出た物の秀逸。
現実の歴史に忠実であるかは不明だが、戦国時代には、こういう下剋上は多く
あったと推測できる。
多くと書くと「ネタバレ」となるので書けないが、クライマックスの「森が歩いて
やって来る」とか「人が蜘蛛の巣に掛かるような、弓矢の雨嵐」は、逸品。

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777

4.0心の底には何がある

2022年11月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

萌える

楚々とした風情とそそのかし、信頼と疑心暗鬼、矛盾したものを抱え込んでいる人間の本性を山田五十鈴が具現していた。彼女の動きも静も全て計算されたもので美しく空気に緊張感が漂う。山田五十鈴でなくてはできない。歩み、暗闇からぼーっと現れるこの世のものではないような姿、無表情に見えて豊かな能面の顔に声、衣擦れの音がこれが能でないことを気づかせてくれる。

三船敏郎といい志村喬といい、立派な顎と口に日本の男の脚と足。三船敏郎の声としゃべり方はあまり好きでないが、姿と表情がこの映画では素晴らしい。最期の姿、どうやって撮影したんだろう?演出、撮影、照明、ヘアメイク、衣装全てのレベルが高い。

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talisman

4.5「マクベス」を戦国時代に翻案

2022年7月1日
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鑑賞方法:DVD/BD
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琥珀糖

5.0武者絵巻の音

2022年3月23日
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Bini

3.5この映画では、本物のカラスを使っている

2022年2月24日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

マクベスだから仕方ないが、先日見たA24のマクベスと効果の部分で一緒だと思った。しかも、リスペクトの範疇なのだろうが?
カラスの飛翔はこの映画では、本物を使っているが、あのマクベスはCG,
大変に汚く感じた。
舞台劇なのだから、仕方ないが、動作が大袈裟なのは仕方ないが、少しばかり気になった。
ナショナルシアターのリア王を見たが、同じ悲劇に合う、同じシェークスピア作品の王様は、怯え以外に開き直ったお道化があったような気がする。まぁ、仕方ないが。

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マサシ

4.0字幕で見るべし

2022年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

ストーリー:見事な武功で大殿の危機を救った2武将は出世を果たすが、それは登城中に出会った物の化の予言通りだった。

これは文句なしに面白い。ストーリーと言い、画作りと言い、迫力と威厳があって飽きさせない。
音声が不明瞭なので字幕ありの設定で鑑賞する事をお勧めします。

今週の気付いた事:手はよく洗いましょう、洗って落ちる汚れならば

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ほとはら

5.0蜘蛛の巣城

2022年1月24日
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能の舞台を参考にしたような緊迫感のあるセリフの調子。森で遭遇する浪花千栄子の妖怪の気味悪さ。黒沢監督がこの時代の話がとても好きだということががはっきりと伝わってくる。
「戦国時代にタイムスリップしてみたい…」と思っていたに違いない。でなければこんな演出の映画は作れない。世界に誇れる素晴らしい映画だけど 最後があっけなくて物足りない…(;_;。もっとじわじわと鷲津(三船)が他の家臣に疑われ 追い込まれていくような場面を長く作っていたら もっと素晴らしい映画になっていたと思う。

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こーしっぺ

5.01957年のクロサワがいる

2020年12月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

50年以上前の映画。
とくに引き気味で能舞台のような映像の美しさと、その中の三船と山田五十鈴が迫真の存在のすばらしさ。
富士山のふもとにこの巨大建物をたて、霧ただよわせと雨を降らせる。構想力が圧倒的だ。こんな監督を彼以外知らない。彼は俳優に演技させない。俳優が役柄とおなじになるまでとことん追い詰める。演技など求めていない。その方法論が映画を唯一にしている。
彼の日本映画だから2020年でも生きている。

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そんぼの本棚