劇場公開日 2003年5月17日

めぐりあう時間たち : 映画評論・批評

2003年5月15日更新

2003年5月17日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー

3つの時代、3人の女性が共有するのは、生の不安

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3つの時代、3つの場所。それぞれ異なる生を生きながら、同じ苦悩を抱える3人の女性たちの物語。3大女優競演、キッドマンのオスカー初受賞と、何かと話題の多い映画だが、今時のメジャー映画には珍しいほど繊細な傷つきやすさに満ちている。

3人の女性が共有するのは、生の不安。自分が自分らしく生きることと、社会的役割とのギャップ。死の影。そして、レズビアニズム。

1920年代、「ダロウェイ夫人」を執筆していたヴァージニア・ウルフは結局、入水自殺を選ぶ。一方、ニューヨークに生きる「現代のダロウェイ夫人」は公然と女性と同棲し、エイズに冒された元恋人のためのパーティを準備中。では50年代、ロサンゼルスでは? 青空の下の住宅で一見、幸福そうに暮らす主婦は「ダロウェイ夫人」を読みながら人生に向き合っている。彼女は、女性が自分らしく生きようとすれば「モンスター」と呼ばれる時代を生きていた……。

3つの物語は時空を超えて1つに織りなされ、原作・脚色・演出のアンサンブルも緻密。監督は「リトル・ダンサー」のスティーブン・ダルドリーだが、炭坑夫の息子が“男だてらに”バレエダンサーを目指す物語の次に、この映画を監督したのは偶然か、必然か。3作目に注目。

田畑裕美

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