ラストレター

劇場公開日:

ラストレター

解説

「Love Letter」「スワロウテイル」の岩井俊二監督が、自身の出身地・宮城を舞台に、手紙の行き違いから始まった2つの世代の男女の恋愛模様と、それぞれの心の再生と成長を描いたラブストーリー。姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるため同窓会へ行く裕里だったが、学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通することに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりはじめる。主人公・裕里を松たか子、未咲の娘・鮎美と高校生時代の未咲を広瀬すず、鏡史郎を福山雅治、高校生時代の鏡史郎を神木隆之介がそれぞれ演じる。

2020年製作/121分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2020年1月17日

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(C)2020「ラストレター」製作委員会

映画レビュー

4.5岩井俊二監督の世界観を生きることが許された女優たち

2020年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

岩井俊二監督作品は、どのタイトルであっても女優陣がとにかく美しい。
ただ美しいだけでなく、瑞々しく、可憐で目を離すことができなくなる。
今作では広瀬すず、森七菜が初めて岩井組に参加したわけだが、本編を見た同世代の女優たちは嫉妬にかられたのではないだろうか。それほどまでに、2人の“いま”の魅力を見事なまでに切り取ることに成功している。
「手紙」が題材となっているため、岩井作品のファンならば誰しも「Love Letter」に思いを馳せるのではないだろうか。いつだってオリジナル作品を世に放ち続ける、岩井俊二という映像作家の才気に触れていただきたい。

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大塚史貴

4.0ジャンルは徹頭徹尾「岩井俊二」

2020年1月30日
PCから投稿

タイトルからも岩井俊二の劇場映画デビュー作『Love Letter』の変奏であることは明らかで、『Love Letter』だけでなく、さまざまな岩井俊二作品のモチーフが随所で引用されている。岩井俊二という人の作劇はかなり特殊で、これを本人以外がやっていたらパクリと言われるのがオチだろう。しかしさすがは本家の岩井俊二。どう転んでも「似てる」ことなど承知の上で、入り組んだ構成をより複雑に、とんでもなく複雑にアレンジしていて、ラディカルと言っていいほど野心的な作品に仕上がっている。群像劇、と言えなくもないのだが、とにかく主人公がバトンレースのように交代していくこの方式は、「映画とはこういう風に進むもの」という先入観をハナから否定している。思えば『Love Letter』のラストシーンも従来の映画的な結末から飛躍したもので、あれから25年を経てもなお、岩井俊二は自らが生み出したジャンルを更新しようとしているのだろう。全編どこを切ってもあふれてくる岩井汁。それでいてどこか新しい。集大成のようで、現在進行形の映画作家の凄みを感じた。

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村山章

3.0ラブレター

Kさん
2024年5月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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K

4.0矛盾なのか手法なのか、それが問題だ

2024年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

そもそもなぜ未咲はアトウを選択したのだろう?
この作品に隠された最大の謎を描かないのは、もしかしたらそれは「未咲」の中に書かれているからなのだろうか?
アユミの言動からそれを感じることはできないし、乙坂とアトウとの会話の中にもそれはダイレクトには語られない。ただ感じたのは、それは人の心の成り行き、つまり未咲は単にアトウの方を好きになってしまったということだろうか?
確かに人を好きなるのに理由は後付けだ。「マチネの終わりに」のような出会いもあるだろう。
微妙に納得できないが、このような手法が読者に託すということなのかもしれない。
さて、
恋を描くのに想い出とはなんとも切ないものだろう。
乙坂の想い出の中に登場する未咲とユウリ。アユミとソノカにそっくりなのは、彼女たちが純粋さそのものだからだろう。そうだろうと予想してはいたが、回想シーンはいつも心のどこかを締め付けてくるようにグッと来てしまうのは、もしかしたら歳の所為なのかもしれない。いや、おそらく広瀬すずちゃんと森七菜ちゃんの演技にやられたのだろう。
冒頭の儀式は葬儀ではなく初七日といったところだろうか。
未だ開封できずにいる母の遺書。
遺書という言葉がすぐに自殺を連想させる。
しかし、未咲がアユミに伝えたかったことと、未咲自身の選択に齟齬を感じざるを得ない。
死ぬ間際のシーンがないのでわからないが、病気だったとはいえおそらくまるで別人だったのではないかと想像してしまう。
もしそうであれば自殺の選択は理解できるが、卒業生代表のあの言葉をアユミに遺書として残すという思考回路にはなれないように思し、アユミに対して説得力に欠けるだろう。
なぜ作者は彼女の死を「自殺」に設定したのだろう? その設定にある矛盾を感じたのは私だけだろうか?
アユミもアトウからDVを受けていた。それが限界に来た時、叔母のユウリに助けを求めた。
そしてアトウは姿を消した。すぐに引っ越し、やがて自殺する。
未咲が宝物にしていた乙坂からのラブレター。何度も読み返していた。
アユミが「もう少し早く来てくれていたら」といったが、乙坂を責めることはないのは、それが単なる勝手な思いだということをわかっていたからだろうか。
乙坂から届いた手紙に美咲に成りすまして返事を書くという行為は、アユミ自身の抱いていた期待が正しかったのかどうか確かめたかったからなのかもしれない。
校舎で乙坂と出会い、すぐに乙坂だとわかるあたりも、それが娘だからではなく、ラブレターと手紙から彼を想像していたからだろう。
この瞬間、アユミの希望そのものは叶わなかったものの、思いは届くということを彼女は心の奥で知ったに違いない。
「未咲」を読んでいたアユミは、母がなぜアトウを選択したのかわかっていたのだろう。それは誰も責められないということもアユミはわかっているのだろう。この少女特有の聞き分けの良さが胸を締め付ける。「結果」という問題に対し、アユミはどのようにして折り合いをつけるのだろうか? 未だ読めない遺書がそれを示している。
また、
同窓会で再会した乙坂と美咲を名乗ったユウリ。乙坂はすぐに気づいたと言ったが、実際はそうではないと思う。その後始まった手紙のやり取りは、本人でなければ始まらない。
逆に乙坂の言葉通りであれば、彼は是が非でも美咲に会いたいがために、ユウリに近づいたということか。彼の言ったように、未咲以外書けなくなっていることがそうさせたのだろうか? それは失恋の過去を引きずっているからか、それとも「まだアトウと一緒にいるのかどうか知りたいと思った」からか? この手紙にさえ書くことができないことを彼自身の目で確かめたかったから、宮城までやってきたのだろう。
やがて、乙坂の回想シーンでようやくユウリの立ち位置が判明すると同時に、今回一方的にユウリが手紙を書くような行為の謎が解けるあたりは良かった。

自殺は死亡原因だが、芸能人でもない限り、またいじめなどの事件でもない限り、それを明言することはない。
家族も親戚も、必死になって隠すものだと思う。
なぜなら、その選択に家族も親戚も折り合いを付けられないからだ。
アユミは「お母さんは、何も悪いことしていない」と言ったが、そういうものではない。
自殺とは、家族にとっても親戚にとってもとても重いことだ。

結局この作品は若者たちに向けられているのだろう。
卒業生代表の言葉がそれそのものだからだ。
それは未咲がアユミに伝えたかったこと。
卒業生代表の言葉そのものが作者が若者たちに伝えたかったことだ。
ただし、そこにある矛盾は手法として正しかったのかどうか、私には判断できなかった。

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