蟻の王

劇場公開日:

蟻の王

解説

「ナポリの隣人」「家の鍵」などで知られるイタリアの名匠ジャンニ・アメリオが、同性愛の許されない時代に恋に落ちた詩人と青年をめぐる「ブライバンティ事件」の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。

1960年代のイタリア。ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人・劇作家で蟻の生態研究者でもあるアルド・ブライバンティは、教え子の青年エットレと恋に落ち、ローマで一緒に暮らしはじめる。しかし2人はエットレの家族によって引き離され、アルドは教唆罪で逮捕、エットレは同性愛の「治療」と称した電気ショックを受けるため矯正施設へ送られてしまう。世間の好奇の目にさらされる中で裁判が始まり、新聞記者エンニオは熱心に取材を重ね、不寛容な社会に一石を投じようとするが……。

「輝ける青春」のルイジ・ロ・カーショがアルド役で主演を務め、エットレ役には本作が映画デビューとなる新星レオナルド・マルテーゼが抜てきされた。2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

2022年製作/140分/G/イタリア
原題:Il signore delle formiche
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2023年11月10日

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(C)Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)

映画レビュー

4.0【イタリアの詩人、劇作家、演出家、蟻の生態学者として知られるアルド・ブライバンティが、同性愛者を裁く法律が存在しない国で、権力が作り出した教唆罪に問われても、人間の尊厳を失わない姿が印象的な作品。】

2024年5月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■1959年、イタリア。
 アルド・ブライバンティ(ルイジ・ロ・カーショ)は、主催している芸術サークルで、兄マンニコに連れられてやってきたエットレ(レオナルド・マルテーゼ)という若者と出会う。
 2人は惹かれあい、やがてローマで暮らし始めるが、エットレの母、兄マンニコにより教唆罪を問う裁判に掛けられる。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・冒頭、精神病院に入れられたエットレが電気ショック療法を無理やり施行されるシーンが出るが、1960年代のイタリアでは同性愛は差別と偏見に晒されていた。

・劇中には出て来ないが、アルド・ブライバンティの教唆罪を問う裁判では、パゾリーニ監督や、ウンベルト・エーコらが彼のために活動した。
 が、パゾリーニ監督は「ソドムの市」を制作後、何者かに虐殺されている。

・ジャンニ・アメリオ監督は、今作で実在しない新聞記者エンニオ(エリオ・ジェルマーノ)を登場させ、アルドを支援させる。
 今作で、同性愛への差別や同調圧力への批判が濃厚に漂うのは、監督の想いを新聞記者エンニオの姿や言葉に投影させているからであろう。

<アルドは裁判中の序盤、一切裁判官を見ないし自分の意見も言わない。だが、エットレの人格を歪めたと糾弾する検事たちを前に、彼は裁判の再後半に言う。
 "他人が何を言おうと、心の中は誰にも侵せない自由の王国なのだ。"、と。
 今作は、同性愛者への差別と偏見に立ち向かった実在した芸術家とお互いに愛し合った青年の生き方に基づく”人間の尊厳とは何か。”を観る側に問うてくる作品なのである。>

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NOBU

2.0私には難しかった

2024年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

蟻の王といっても、昆虫うじゃうじゃのパニック映画ではない。が、映画タイトルにするほど蟻の要素が強いわけでもない。史実に基づく映画だそうだが、見終わった後、何がテーマだったのか考えさせられた。(いまだにわからない)

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ぬう太郎

3.5イタリアのファシズムを扱う映画はとにかく残酷で暗い。元が実話だから...

2024年3月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イタリアのファシズムを扱う映画はとにかく残酷で暗い。元が実話だから仕方ないか。そんな中でも微かな希望があったのには少し救われた。

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mini

3.0同性愛が許されない時代のイタリアが強烈

2024年1月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

昨年鑑賞した『シチリア・サマー』、『インスペクション ここで生きる』が同じテーマを扱っているかなと思います。

同性愛が許されなかった時代のイタリア、本作では1960年代を描いていますが、『シチリア・サマー』は1980年代ですから
全く変化していないのですよね。今は変化しているのか、私としてはすごく疑問が残ります。
そう簡単にこういった偏見がなくせるのか、人間の建前と本音は別なのでは?と、どうしても考えてしまいます。

本作で更生施設(病院)が出てきて、電気ショックで同性愛を治療しようとするショッキングなシーンがあるのですが、
さすがにこれは拷問だろうと思いましたし、その治療を受けた男性は病んでしまってしまうわけで、
人間の尊厳とは?ということも深く考えさせられました。
『シチリア・サマー』では、更生施設というワードは出てきましたが、どういうことをされるのかまでは描写されなかったので、
本作でショックを受けました。

本作は法廷シーンが中心に描かれているので、ちょっと思っていた内容とは違っていたのですが、
実にせつない、やるせない気持ちになる映画でしたね。

ただ、こういう作品は多くの方に観ていただいて、多様性の本質、人間の本質といったことに
思いを馳せていただければ良いな〜と思います。

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ひでちゃぴん
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