マンティコア 怪物

劇場公開日:

マンティコア 怪物

解説

2014年の劇場デビュー作「マジカル・ガール」で第62回サン・セバスチャン国際映画祭グランプリ&監督賞を受賞したスペインの鬼才カルロス・ベルムトが、ゲームデザイナーの青年が思いもよらない“怪物”を作り出してしまう姿を独創的なストーリーと予測不能の展開で描き、人間の心の闇に踏み込んだアンチモラル・ロマンス。

空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーの内気な青年フリアンは、同僚の誕生日パーティで美術史を学ぶ女性ディアナと出会い、聡明でミステリアスな彼女にひかれていく。その一方で、フリアンは隣人の少年を火事から救ったことをきっかけに、謎のパニック発作に悩まされるように。やがてフリアンが抱えるある秘密が、思わぬ怪物を生み出してしまう。

主人公フリアン役に「SEVENTEEN セブンティーン」のナチョ・サンチェス。2022年・第35回東京国際映画祭コンペティション部門出品(映画祭上映時タイトル「マンティコア」)。

2022年製作/116分/PG12/スペイン・エストニア合作
原題:Manticora
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年4月19日

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(C)Aqui y Alli Films, Bteam Prods, Magnetica Cine, 34T Cinema y Punto Nemo AIE

映画レビュー

3.0反倫理的な性的欲望に関わる映画であることと、監督が性暴力で告発されたことについて

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

日本オタクぶりが強烈なアクセントになっていたカルロス・ベルムト監督の怪作「マジカル・ガール」(2014)を大いに楽しんだ一人として、この新作「マンティコア」(本国スペインでは2022年9月公開)も当然期待していた。

だが日本での封切りを前にして、ベルムト監督は今年1月、同意のない性行為を強制したとして3人の女性から告発された。暴力的な性行為を強要されたとの証言もあるという。これに対し監督は「乱暴だが合意の上での行為だった」と反論した。だが2月、さらに別の3人の女性がやはりベルムト監督から性暴力を受けたと告発。スペイン文化省は同月、芸術分野での暴力やハラスメントに対処するための相談窓口を設置すると表明した。その後の経過が報じられていないので正確なことはわからないものの、逮捕や裁判といったニュースが見当たらないので、告発を受けて捜査や調査が進行中と推測される。

“推定無罪”の考え方にのっとり、性暴力が確定したわけではないので問題ないと考えるか。あるいは、スタッフやキャストの不祥事と作品は切り離して評価すべきというスタンスをとるか。もちろん人によって考え方はいろいろあっていい。とはいえ、これらのことを事前情報として知ったうえで鑑賞するかしないのかを判断する、情報に基づく選択の自由があったほうがよいと個人的には思う。

「マンティコア」が反倫理的な性的欲望に関わる内容である点について、ベルムト監督が起こした不祥事と関連づけて批判する意見もきっとあるだろう。過激な問題作を連発して“鬼才”と呼ばれ、のちに性暴力で失墜したキム・ギドクや園子温を思い出す。

作品自体についてのレビューがほとんどなくて申し訳ない。やはり前述の事情を知ってしまった以上、映画の反倫理的な要素をフラットに評価しづらいというのが正直なところだ。

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高森 郁哉

4.0主人公と観客の危険な距離感。

2022年12月29日
PCから投稿
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村山章

4.5おマンティコア

2024年5月25日
スマートフォンから投稿

寝られる

空き時間2時間半で程良い時間にこの作品。
どんな映画かも一切分からずにウトウト。
リストランテでのシーンで『あれっ?』
もしや『小児性愛者?』
小児性愛者ほど胸糞悪い生き物はいない。
(投与して隔離すべき)
コイツには此の何十倍もの苦痛を味わって欲しかった。
まぁ、作品としては秀逸だったかもwww

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Psycho

4.0後からジワジワとくる問題作

2024年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

 現実より虚構の世界に埋没するフリアンのような人間は、いかにも現代的だなと思った。他人に迷惑をかけるわけでもないし本人が満足しているのであればそれで良いと思うのだが、犯罪が絡んでくればそうも言っていられない。終盤で彼は”ある行動”に出るが、こうなる前に止めることは出来なかったか…と色々と考えさせられた。

 監督、脚本は「マジカル・ガール」で鮮烈なデビューを飾ったカルロス・ベルムト。
 「マジカル~」では日本の魔法少女アニメ好きな女の子が登場したが、今作のフリアンもその流れを継ぐキャラクターのように思う。両者とも、現実と虚構の境目で自家中毒的な妄想に取りつかれている。そういう意味では、両作品を見比べてみると面白かもしれない。

 もっとも、群像劇だった「マジカル~」に比べると、本作はシンプルな分、若干食い足りなさを覚えたのも事実である。ただ、シンプルな分、メッセージは鋭くこちら側に刺さってきた。
 虚構に人生を求め、翻弄される人間の弱さ、悲しみに胸が締め付けられる思いになった。

 作品としての完成度も非常に高いと思う。
 前半のフリアンとクリスチャンの会話が後の伏線になっていたり、ディアナの父親の介護がフリアンとのロマンスの障害になっていたり、全体のプロットがよく計算されている。フリアンがナンパした女性とベッドインできないというのも、彼の性癖を考えれば合点がいくエピソードでよく考えられている。

 映画の中盤で、暴力的なゲームや映画が犯罪を誘発するかどうかという問答が繰り広げられるが、後になってみればこのシーンもミスリードになっていることが分かる。ゲームや映画への一方的な非難にフリアンは呆れかえるが、実際には彼自身こうした虚構の世界にドップリと浸かり悲劇の顛末を迎えてしまったのであるから、何とも皮肉的な話である。

 一方、残念だったのはラストのエピローグである。ディアナの心境変化が全くフォローされていないせいで、少し唐突に感じられてしまった。これを救いと取るか、意地の悪いブラックユーモアと取るかで、作品の鑑賞感も大分変るかと思う。

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ありの
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