ジョン・レノン 失われた週末

劇場公開日:

解説

ビートルズのジョン・レノンと妻オノ・ヨーコが別居していた“失われた週末”と呼ばれるプライベートな日々の真相を追ったドキュメンタリー。

1973年秋から75年初頭にかけての18カ月間、ジョンはヨーコの強い希望により、夫妻の個人秘書でプロダクションアシスタントを務めていた中国系アメリカ人メイ・パンとともに過ごす日々を送った。この期間、ジョンはメイの助けを借りて最初の妻シンシアとの長男ジュリアンと再会することができ、アルバム「マインド・ゲームス」「心の壁、愛の橋」「ロックン・ロール」を立て続けに制作、デビッド・ボウイやエルトン・ジョンらとのコラボレーションや、ポール・マッカートニーとの再会など、“失われた週末”という呼び名とは裏腹に、ビートルズ解散以降のソロキャリアのなかで最も多作で商業的にも成功した時期を過ごした。

映画ではメイ本人の証言をはじめ、名曲の数々や貴重なアーカイブ映像、プライベートな写真、ジョンが贈ったユニークなイラストの数々を交えながら、メイの目で見た素顔のジョンを描き出す。

2022年製作/94分/アメリカ
原題:The Lost Weekend: A Love Story
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2024年5月10日

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(C)2021 Lost Weekend, LLC All Rights Reserved

映画レビュー

3.5ジョン・レノン正史から“失われた真実”を取り戻すメイ・パンの闘い

2024年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

萌える

ビートルズのメンバーとして60年代のポップミュージックを牽引し、解散後もソロや著名ミュージシャンとのコラボで名曲を数多く作り歌ったジョン・レノンへの音楽的興味からこのドキュメンタリー映画を観るなら、おそらく物足りなく感じるはずだ。ソロ時代の曲は断片的にしか流れないし、ビートルズ時代に至ってはコンサート映像を使いながら別のバンドの曲がバックグラウンドで流れる始末。音源の使用料と映画製作費の事情でそうなったと想像するが、曲をじっくり聴かせてもらえないさびしさは否めない。

レノンが妻のオノ・ヨーコと別居した1973年秋からの1年半は、アルコール依存症の男を主人公にしたビリー・ワイルダー監督作「失われた週末」(The Lost Weekend)にちなんでそのように呼ばれた。ジョンが実際この期間滞在先のロサンゼルスでアルコールやドラッグにおぼれて騒動を起こし、ゴシップネタになったせいもある。ただし一般に考えられていたような空白期間などではなく、元ビートルたちを含む他のミュージシャンとの交流が活発になり、むしろ生産的で充実した18カ月であったことが、このドキュメンタリーで明かされている。

語り手は、ジョンとヨーコの個人秘書として働き、ヨーコの要望で別居中のジョンと過ごし支えることになった中国系米国人女性のメイ・パン。このジョンとメイ・パンの共同生活が始まるきっかけや、突然の終わりを迎えた時の話を聞いて、ヨーコは仕切り屋でコントロール・フリークだったのだと改めて思う。ジョンがソロになってから1980年12月に凶弾に倒れるまでの約10年間は、いわばオノ・ヨーコ史観による“ジョン・レノン正史”が通説になっていた。ジョンがこの1年半にメイ・パンと心から愛し合い、音楽的にも活発でプロダクティブであったというのは、ヨーコからすれば不都合な真実だったはず。逆にメイ・パンの立場からすれば、失われた真実を取り戻す闘いが、この映画の基になった回想録から続いているのだろう。

メイ・パンの社交的な性格のおかげで、ジョンが前妻シンシアとその息子ジュリアンとの関係を修復できたのは心温まるエピソードだ。ヨーコがジョンの交友関係を制限するようなことがなければ、ポールの(ウイングス名義の)アルバム「ヴィーナス・アンド・マース」への参加、さらには2人の共作も実現した可能性がかなりあったのではないかと、残念でならない。

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高森 郁哉

5.0メイパンによる撮影写真集により既に十数年前から公になっている事実だが

2024年5月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

まず、メイ・パン本人に感謝の意を示しておきたい。

個人的には、相当前に出版された写真集で初めて明かされ、その当時驚きを持ってそれを目の当たりにした“真実”であった。

それが(ようやく)今になって、本人自らの口から語られるのを聞けた事、そして最も重要な時期にジョンと寄り添い、時間を共にしてくれた存在としての彼女に謝意を。
更に、ジュリアンとシンシアに対しての優しさにも。

既に、ビートルズを自分の中の重要な存在として認識するようになって半世紀以上が過ぎたが、そもそもその様な輩でもなければ、今作の内容のような(直接音楽部分には関係無い)事にまで興味を持って拘り、情熱を注ぐ様な事などは無かろうことであろう。

この作品で取り扱われている時期、その当時にまさにリアルタイムで「ヨーコと別居し、東洋系のメイ・パンという“秘書”でもある女性と付き合っている」という話が海外から伝えられ知っていた、しかしその後も真相がはっきりとは分からない部分が多い事でもあった。

これまでに相当数の書籍や映像を目にしてきたつもりだが、今回の作品の中には、そのようにしてきたこれまでのものの中でも、目にした記憶が無い映像が可成りの量含まれていると思う。

それらを時系列に整理して並べ、完全な一連のものが存在しないコンテンツについては、断片的な数種類を駆使してそれでも欠落している部分はコラージュで繋ぐことで補うなど、作品としての完成度は手抜き無いクオリティだと思う。

特に、エルトンのLiveへの飛び入りに関しては、正式な動画が存在せず、静止画像のみでしか観たことが無かったが、一部の断片とは言え感動した。
他にも、明らかなプライベート・ショットやプライベート映像、当時のメデイア出演時の映像等、貴重で興味深いものが全編に渡って散りばめられていた。

また、ジュリアンとジョン、ジュリアンとメイとの関係性を示す動画の数々は感動無くしては観れないものだろう。
そして、本作制作時点でのジュリアン自身の登場と、その本人の言葉が、今作の内容に嘘偽りや偏り、偏見などが内在していないということを表す、何よりの証明であろう。

随所に、感情的になって涙滲みそうな箇所をおぼえた。

私個人としては、基本的にいつも客観的なスタンスでいるつもりであり、ヨーコ・オノに対して興味深く思いこそすれ、嫌う気持ちや悪い感情などは持ち合わせない。

しかし、敢えてジョン&ヨーコの“困ったちゃん“なところを言うと、今作中でも触れている「星が悪い」というやつ。
二人は過度にこれに拘り、事実上、後付けで"星の良い日“に変更してしまったりして、運命的だったり美談っぽかったりな「自分(たち)史」の構築を図っていた事が伺える。

そういうことやってると、後年になって「本当の真実」はどういう事だったのかが分からなくなっていくだろう。

一例を挙げると、一般的なファンの間で知られているのは前述のエルトンの「Liveの直後に楽屋にやって来たヨーコとの劇的な再会により、二人はそこで一気に燃え上がって復縁した」というような筋書きで流布され、知られている。
しかし、実際のところは今作で説明されている通り、そのように「劇的な再会により一夜のうちに復縁」などでは無く、その後も紆余曲折あった末の事だったというのがやはり真相だった。

もう一つ、作品中でも触れているが『夢の夢 #9 Dream』の中の「John…」という声というか囁きについて、メイは「自分も録音に参加した」とこれについて語っているが、この声についてもヨーコは「自分」と主張していたりなどという事も。

また、ジョンが逝く半年ほど前の電話での最後の会話と云うのも興味深い。
亡くなった直後にも、早速ヨーコに新恋人説が流れたり、当時のその時期には「二人の関係が既に(また)破綻していた」との記述が見られる書籍も実際あり、それらとの関連性がイメージされるところではある。

今となっては、メイの言葉だけではそのことの決め手にまでがならないだろうから、真相は不明、複数の証言による判断しか無いだろう。

この作品を観終わった後、とても深い、長年の溜飲が下がるような感情というか、感動に満たされた。

長い間探し続けているパズルのピースがついにやっとまた一つ、それも重要な一つをはめ込む事ができたような。

多分、それは完成することは無いモノなのだろうけど、また一歩、如何に完成に近い形に近付けるか、恐らくこれからも続けていくことなんだろうなと。

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アンディ・ロビンソン

4.0ジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫婦が別居していた日々を、 マネージャ...

2024年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

ジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫婦が別居していた日々を、
マネージャーのメイ・パンが述懐した、ドキュメンタリーのような映像。
むしろ、マネージャーご自身の自伝のようでもあり。

ステージでは見られない、羽目の外しっぷり、
音楽仲間と突如ジャムしたり、
元妻や息子との再会模様とか。
音楽的にも、多作で濃密な時期、見ごたえのあるお話でした。

"失われた週末" と呼ばれる通り、おそらくは、ゴシップ的な目線で、
あることないこと言われ放題、作り話が独り歩きしたこともあっただろうと察します。
所詮は、よそ様のご家庭内の事情。私どもが詳細を知る必要はありませんが。
人の数だけ、目線があって、見解がある。
それらのうち、ごく近い重要なお方の、当時者目線でのもろもろを、
手書きのメモやイラスト等も添えて、見聞きさせていただけたこと。

音楽的なやり取りやアウトプットがどう生まれたかを見られたことは、
いちリスナーとして興味深いものでした。

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woodstock

4.5とても良かった!!

2024年5月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

メイ・パンのことは名前くらいしか知らなかったけど、ジョンを中心に巡る当時のストーリーを知ることが出来てよかった。

映画の中でたくさん出てくる彼女とジョンとの写真を見ると二人とも良い関係だったんだなと感じた。

ジュリアン・レノンとの現在も続く関係性も胸にグッとくるものがあった。

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はなてん
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