劇場公開日 2018年7月14日

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「ギターのイントロに乗れば、ようやく語り出せる自分の言葉」志乃ちゃんは自分の名前が言えない きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ギターのイントロに乗れば、ようやく語り出せる自分の言葉

2024年5月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「これ70年代〜80年代の映画だったっけか?と、思わず 映画情報を確かめた僕です。
音楽がね、う~ん♪ 良いわ~ 〜♪

『翼をください』(1971) 赤い鳥
『あの素晴しい愛をもう一度』(1971) 北山修 ,加藤和彦
『世界の終わり』(1996) ミッシェル・ガン・エレファント
『青空』(1989) THE BLUE HEARTS
そして本作のためのオリジナル曲
『魔法』だ。
詞:原作者押見修造、作曲まつきあゆむ、〈 歌 しのかよ〉

あの時代を生きてきた親たちと、
そしてその子供たちに捧げられた
こんなにもノスタルジックで、かつ新鮮な青春グラフィティ。
橋の上で歌う彼女らの姿に、こちらはいつしかオーディエンスになって、体が揺れてしまっている。

トボトボ と、
自転車を押して歩く志乃ちゃん。
志乃ちゃんは独りで歩き、
加代と歩き、
一緒に二人乗りをし、
ついにあのジャケット写真となる。

DVDは、レンタル店でジャケ買いならぬジャケレンタルになる事が多いのだが、
僕は本作は、パッケージ写真がとっても良くって、大好きだ。

・ ・

実はこの僕も、
どもり(吃音) があって、辛かった。
小学生のころ、お使いで「タマゴ」を買うのにとても苦労した思い出がある。
どうしても《最初の音》 が ・・ 出ない。
目を白黒させる僕のことをお店のおじさんは辛抱強く、辛抱強く、辛抱強く、待ってくれたのだけれど、
結局「ニワトリが産むこういう白い丸いもの、ありますか?」とやっとのことで僕は言ったのだが。

だから、
今では当たり前の「スーパーマーケット」とか、「セルフレジ」とか、言語障害の人たちにとっては まるで天国のような時代が来たんだと思っている。

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
映画館の館内には、どの会場にも関係者や 当事者たちが きっと来ていただろう。そして暗い館内で静かに着座して、あの志乃ちゃんと加代の対話を見ていたはずだ。
原作者は漫画家さん。喋れなかったこの押見修造さんという人が漫画を書く人になり、志乃ちゃんがメモ帳に自分の声を書いたように押見修造さんは漫画で語った。
それが映画になった。

対人関係の扉を開いてくれた初めての友だち=加代。その加代は他の男子に夢中になり志乃ちゃんとは距離が出来る。
そこも嘘がなくて、とても良い高校生活のありのままの姿と言えるのではないかな。
3人が3人とも自分のコンプレックスを打ち明け合ったことから、一旦結束した彼らが、そしてようやくバラバラに自分だけで歩き出す、
そこが物語にリアリティと生命を与えている。

あと、
志乃ちゃん役の南沙良さん、やり過ぎて《どもり》にならなかっただろうか。少し心配。
そして、《どもり》持ちは、これはどうしようもないし、申し訳ないんだけれど、吃音仲間がとっても苦手だってこともあるんだよね。わかるよね。

きりん
きりんさんのコメント
2024年5月18日

くるしいなかからのおたよりをありがとうございました
そういえばこのさいとも ちいさな めもちょうなのかもしれない
ほんしんの

かきつける かきつけるこのいのちづな

きりん
sow_miyaさんのコメント
2024年5月18日

きりんさんこんにちは。共感ありがとうございます。
少しずつ明るい兆しが見えてきました。
バラバラで歩き出すところ、自分も全く同感です。それこそがリアルだと思います。

sow_miya