「カジュアルに楽しめるポップコーンムービー」ゴジラ×コング 新たなる帝国 ありのさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5カジュアルに楽しめるポップコーンムービー

2024年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

 前作にもまして更に軽快且つコミカルなテイストが横溢し、もはやここまでくると、ある種の”開き直り”を覚えてしまうのだが、それが良い意味で頭を使わずに観れるポップコーンムービー的楽しさに繋がっているような気がする。何しろすべからく説明ゼリフで解決してしまうという強引さが潔い。

 物語は前作から3年後を舞台にしている。コングとテレパシーで交信できる少女ジアと彼女の母親代わりとなるアイリーン博士の関係を軸にしながら、コングが住む地下空洞の世界を探査する…というアドベンチャームービーの体で話は進んでいく。
 これまでのシリーズを観ていた方が理解しやすいと思うが、特に観ていなくてもそれほど難しい設定は出てこないので、ある程度楽しめるのではないかと思う。

 ただ、前作もそうだったが、基本的には怪獣バトルを前面に出した作りが徹底されているため、彼女たちの疑似親子愛といった人間ドラマのパートは存外淡泊である。

 一方、見所となる怪獣バトルは、新敵の登場によって賑々しく展開されている。とりわけ、クライマックスシーンの無重力バトルは”発明”ではなかろうか。少なくともこれまでに作られた怪獣映画では見られなかったユニークさがある。個人的には「インセプション」の格闘シーンや漫画の「ドラゴンボール」の空中バトルを連想してしまった。

 また、過去の東宝ゴジラ映画のオマージュが出てくるので、そのあたりもマニアックに楽しめるだろう。

 尚、本作は興行的にも成功したという事なので、シリーズはまだ続きそうである。ここまで”バカ映画”然とした作りに舵を切ったことが、今後どのように作用していくのか分からないが、少なくとも過去の呪縛から解放されたという感じはする。これまでゴジラとコングと言うと変に神格化されてしまい、作り手もどこかで委縮してしまう傾向にあった。しかし、今回でそれが完全に吹っ切れたような気がする。そういう意味では次回作がどうなるのか、注目したい。

ありの